「白崎、どーした?」
目の前に居る白崎は焦った様な、苛立ったような、表情をしていた。
それが、理一に話しかけられて怒気に変わった。
「どうしたもこうしたもねーよ!!
守護石がなければ白崎家はもうおしまいだ。
うちの一族の子供が育ちにくい事はお前だって知ってんだろ!?
聞いた話によるとお前一色に守護石分け与えたそうじゃねーか。
ご当主の息子様はさぞお偉いと言う事だよな。
勝手に、貴重な守護石をプレゼント出来るんだから。」
嫌み交じりで怒声を放つ白崎。
「一色の石は彼の命を守るために必要だったから渡しただけだぞ。
一色の運の悪さは見れば分かるだろ?実際、石の順番待ちの順位も上だったはずだ。」
怒声をものともせず理一が答えると、一瞬白崎はつまったようになったが、気持ちを奮い立たせるようにさらに言った。
「一色の件は置いておくとしても、うちの一族はもう限界だ。
いくら九十九(つくも)様が現在いらっしゃらないくて新しい石が作れないとしても、今ある石を提供するくらいできるだろう!?」
理一に掴みかかりながら白崎は言った。
普通掴みかかられれば首がしまって眉くらい顰めるものだが、理一にはそれが無い。
だが、余裕を全くなくした白崎はそれには気が付かない。
「今週末、実家に帰る予定なんだ。その時に必ず父に伝えて、説得するようにする。」
「とりあえず、言ってみるってだけじゃないだろうな?」
白崎は理一を睨みつける。
「妹さん、アイラちゃんだっけ?何かあったんだろ。白崎の事だ、大切な人に何かなきゃこんな風にする訳無いもんな。」
「俺妹の話なんかしたか?そうだ、妹がついに倒れたんだよ。」
「妹の話はこの前クッキー作ってくれたって嬉しそうに言ってただろう。
……そうか、必ず父を説得するから安心してくれ。」
「ちょっ!?理一!?」
雷也が理一を止めようとするが理一は気にせず。「任せとけ。」と白崎に言った。
白崎はまだ、不安は残るがとりあえず理一に任せる事にし「頼んだぞ。」と言った後その場を立ち去った。
「本当にいいのか?」
「んー。白崎のシスコンは有名だからね。」
「それにしたって、守護石がノーリスクで湧いて出てくると思っているだろあいつら。」
白崎以外の守護石を求める人間たちを苦々しく思い出しながら雷也が吐き捨てる。
「まあ、仕方がないよ。」
「仕方がないって……。まあいい、それよりも一色に守護石を渡したのか?」
「ああ、うん。親父には一応報告してあるよ。」
事後報告であるという事は雷也には言わない。
恐らくこっぴどく怒られるであろうから。
「親父には雷也から連絡しておいてもらえる?」
「分かった。」
「後、多分来週頭はこっちに戻ってこれないから、ノートよろしく!」
さも、ちょっと遊びに行ってくると言うように伝える理一に雷也は眉を寄せたが何も言わなかった。
雷也の気持ちが分かるかのように困った笑いを浮かべ理一は「大丈夫だよ。」と言った。