ホテルの風呂はまあ、大体よくあるタイプの少し広めのものだった。
樹を抱えるようにして浸かる風呂はそれだけでいい。
残念なことに樹が顔を合わせるのが恥ずかしいというので太ももの上に乗ってもらっている。
表情が見えないのは残念だた、この体制はそれはそれでいい。
先程からクニクニと触ってすでに固くなっている乳首をなで回すと、樹が体をよじる。
湯がぱしゃんと揺れた。
樹は、もうどこもかしこもピンク色になっていて、声にならない声を上げている。
どうせ、ラブホなんだ。もっと声を出して欲しいと思った。
首筋からうなじにかけて、舐め上げた。甘い様な気がするのは勘違いだとわかっているが止まらず肩口のあたりに吸い付いた。
離したそこは赤くうっ血していてほくそ笑む。
気を良くした俺は、少し強めに乳首をつねる。
樹の口から甲高い悲鳴の様な声が上がった。
どちらかというといつも穏やかに話す樹が感極まったように啼く姿は扇情的で思わず股間が反応してしまい、それに気が付いた樹がギクリと固まる。
樹は俺以外に経験が無い。だからなのか、ゲイであることにずっと罪悪感を感じていたからなのかはわからないが、こうしてセックスの最中体を固くすることが時々ある。
そのまま、本格的に抱き込む様にして樹の耳にキスを落とす。
おずおずと、振り向いた樹の顔は真っ赤で、瞳には涙がたまっていて、それを見た瞬間、無理な体勢だとわかっていた筈なのに、半ば無理矢理自分の方に顔を向けさせて唇を吸う。
そのまま、樹の口腔に舌をねじ込む。
口を離したときにはもう、樹は息も絶え絶えという様子でただ一言。
「のぼせそうです。」
と呟いた。
吐息が熱くなった気がした。
「もうちょっと、二人で風呂入ってたかったな。」
図らずも、声が艶のあるものになった。
樹の体が今まで以上に真っ赤になる。
「あ、あの、ベッドでゆっくり、したいです。」
体を反転させて視線を合わせた樹の声は少し震えていた。
思わず抱きしめると、すでに勃ち上がっていた樹のペニスが俺の腹にこすれてますます恥ずかしそうに身を縮めた樹を見てそのまま抱き上げると、まともに体も拭かずに、ベッドに直行した。