愛は巡る3

ベッドで俺のことを見上げる樹は扇情的で、目元はうるんでいて、半開きになった口元から洩れる吐息に吸い寄せられるように唇を重ねた。
ゆるゆるとこすりつけた腰はお互いの起立が当たって、樹もすでに興奮しきっていることが分かる。

「樹、愛してるよ。」

こめかみにキスを落としてから下肢に手を伸ばした。
鞄に入れていたローションで樹の中を解す。外出するときに潤滑剤を持ち歩く癖が付いていたことが幸いした。
ラブホのものはなんか使いたくないのだ。
樹と付き合いだしてからは意味をなしていなかったその習慣が役に立っていた。

指先でぐにぐにと解すと、短い吐息の様な喘ぎ声が聞こえる。
その甲高い声が好きだ。

「けーご、さん、もう、もう。」

切羽詰ったように、樹が言う。
舌ったらずになった言葉を聞くと、俺ももう我慢の限界だった。

急いで手を引き抜くと「アッ…」という期待したような喘ぎ声がした。
その事実に気が付いたのか樹は手で頭を抱えるみたいにして腕で顔を隠した。
そのまま、自分のペニスを樹に潜り込ませる。
樹が息をつめたのが振動で分かる。

ゆっくり、根元まで沈めると樹の手に自分の手を絡めた。
やはり、顔は見てしたい。

樹は挿入時の衝撃で浅く息をしている。
生理的なものだろう涙が目尻に滲んでいるのをそっと舐めた。

「動くよ。」

甘やかしたいなんて思っていたが、結局欲が勝る。
腰を動かすたびに樹の絡めた手が強く握られる。

「けーごさん、好き。けーごさん。」

うわ言の様に言う言葉に胸の奥が満たされる。

「いつき」

俺が名を呼ぶと、中がうねる。
樹の手を俺の背中に回してそのまま、樹の足を大きく開脚させてがむしゃらに腰を打った。

「樹、愛してる。」

何度も何度もそう耳元で囁くたびに樹の回した腕の力が強くなった気がした。

そのまま、ほぼ二人同時に達すると、荒い息のまま樹は

「圭吾さんが気持ちよくなってくれて、嬉しいです。」

と言った。
不味い、と思ったが体は正直で樹の中で再び質量を増す。

慌てて抜こうとしたところで、樹が俺の腕を掴む。

「もう一回、したいです。」

視線は泳いでいて、顔どころか体までピンク色にして、それでも縋るように言う樹が愛しくて、愛しくてたまらなかった。

翌朝、目を覚ますと樹はまだ隣で寝ていた。
シャワーを先に浴びてしまおうと起き上がったところで樹も目を覚ました。

「おはようございます。」

樹の声は酷くかすれている。
その潰れてしまった声が愛おしい。

「おはよう。
もう少し寝てる?」
「いえ、起きます。」
「じゃあ、シャワー浴びてチェックアウトしようか。」

ふらふらと起き上がる樹をみて、今日の予定を思案する。
あまり無理させない方がいいだろう。

シャワーを浴び、昨日着てきた私服に着替えた樹が戻ってきてから、自分もシャワーを浴びた。

清算用の券売機の様な機械でチェックアウト手続きを済ませ、二人で車に乗り込んだ。

「どこか行きたいところはあるか?」
「圭吾さんと一緒ならどこでも嬉しいですよ?」

助手席に座った樹はすぐに答えた。

「海ほたるに寄って帰ろうか。
昼間の海もきっと綺麗だ。」

俺が言うと、樹は笑って頷いた。