それでも一緒にいたい13

朝登校するとすぐに山田君に話しかけられた。

「なあ、松木って優斗先輩と付き合っているのか?」
「へ!?」
「いや、最近お前らよく一緒にいるじゃん。それに優斗先輩、松木の部屋に入り浸りみたいだし。それで、優斗先輩のファンの子に恋人かセフレか聞いてくれって言われてな。」
「どっちも違うよ。友達だもん。それにセフレって何だよ!優斗先輩そういうのもうやめたっていってたよ!」

優斗先輩がセフレの件をものすごく気にしていることを知っている僕はつい声を荒げてしまった。
普段大きな声を出すことが無いため周りにいたクラスメイトもこちらを見ている。

「大きな声だしてごめん。でも本当に僕と優斗先輩は普通の友達なんだ。」
「うん、わかった。そういう風に伝えとくな。」

わかってもらえたみたいで良かった。

「でもな。周り…少なくとも優斗先輩のファンはそういう風には思っていないぞ。余計なお世話かも知れないが気をつけろよ。」
「うん、ありがとう。」

うちの学校はBLの世界のように親衛隊がいてリンチをするというようなことはさすがに無い。
楓からBL小説を押し付けられて読んだときにびっくりした。さすがに男はああいうことはしないと信じたい。
だけど、所謂ファンというかシンパは存在する。
自分のファンの人間が他の人に取られる状況は気に入らないというのは当然の心理だと思う。とはいえやることは悪口を言う程度なので気にしなければすむ。
でも友達ぐらい自由に作っていいと思う。

そもそも、僕と優斗先輩が噂になっていたなんて知らなかった。
昨日の楓の言動もその噂からきているのかな。
優斗先輩も色々言われているのかな?
迷惑かけてないと良いけど。
そうだ、メールしておこう。
とりあえず、噂になっているみたいですね、ということと否定しておきました、迷惑かけてないと良いんですが、ということを送ってみた。

優斗先輩からすぐに返事が返ってきたけど大丈夫とのことだった。
本当に大丈夫なのかな?僕が心配性なだけかな。