※付き合ってすぐ位(愛を叫ぶより時系列的に前)
ミヤさんとするキスはいつも緊張する。
その緊張を解すみたいに、こめかみから顎に向かって撫でられる。
それが、最初にキスをした時にヘッドホン越しに触られた感触を思い出して、血液が多く流れた気がした。
ミヤさんは俺の唇を撫でて
「口少し開いてる。誘ってるみたいだな。」
と呟いた。
その声は、付き合う前に聞いたどの声より甘かった。
誘ってるという言葉を聞いて、思わず顔を伏せる。
キスをしたかったのは本当で、それが顔に出てしまったんじゃないかと思ったら恥ずかしかった。
もっとスマートにできればいいのになんて、ミヤさんの恋人になれたのに贅沢だろうか。
ミヤさんが顎を持って俺の顔を上にあげると、チュッとキスをされた。
実際には唇が触れただけだから音なんでしてないんだろうけど、柔らかな唇が触れた瞬間良く分からなくなってしまった。
「大丈夫だから。」
全てお見通しみたいにミヤさんが言う。
それからもう一度口付けが降ってきた。
今度のそれは先程より深いものでもうあとは彼のことしか考えられくなる。
舌を絡めるキスはそれだけで頭がボーっとして、ふわふわとする。
ミヤさんの舌は少しざらついていて、唾液は甘い。
送りこまれる唾液を必死に飲み込むと、ミヤさんの顔が離れる。
「あっ……。」
思わず出た声はまるで物足りないと訴えている様で、思わず口を自分の手で塞いだ。
すると、ミヤさんが低い声で笑った。
見上げた顔は、濡れた唇が生々しくてまた、体が熱くなった気がした。
了