触れるだけのキスをした後顔を離すと、ふわっと花が咲いたように樹が笑った。
それが本当に幸せそうで感極まった俺はギュッと樹を抱きしめた。
その時、一瞬樹は身をよじったが、密着したため気がついてしまった。
「あ、あの、ミヤさん。少し離れてくれると、うれしいです。」
視線を泳がせながら樹が言った。
「これ、つらくない?」
そう聞きながら、反応を見せる樹のそこを膝をずらして触ってやる。
その瞬間、これでもかってくらい赤くなりながら樹がビクリと震えた。
「ちょ!?みゃーさん!?」
「今、それ言うのは反則。
悪い、こっちが我慢できそうにないわ。」
舌っ足らずにみゃーと俺の名前を呼ぶ樹に手加減ができなくなりそうだ。
さすがに初めての樹と床の上でおっぱじめるのもと思い、そのまま抱き上げ寝室へと運ぶ。
セックスを覚えたての男子高校生かと思うが樹が欲しくてたまらない。
それでも、怖がらせないようにとそっと樹をベッドの上に降ろし、顔中にキスを落とす。
樹が着ていたカットソーをまくりあげ、むしゃぶり付きたい衝動を抑えゴクリと喉を鳴らした。
首元にキスを落としながら、胸の突起をくにくにとつまむ。
そのたびに一々びくびくと震える樹に否が応にも性欲が高まる。
でも、歯を食いしばって声が漏れないようにしているのははっきり言っていただけない。
「ねえ、声聞かせて?」
樹は俺がそう言っても真っ赤な顔でフルフルと首を振る。
「俺、樹の声すげー好きなんだ。それこそ世界で一番好きだ。
だから、声聞かせてくれ。」
少し、食いしばった歯が緩んだ瞬間を見計らって一層激しく乳首をこすりあげた。
「ん~~!!あっ、あぅんっ。」
樹のこんな声を聞けるのは世界で俺だけだという事実とそのとんでもない色気に吸い寄せられるように胸のそれを舐めあげた。
徐々に抑えられなくなっていく声に気を良くして、徐々に愛撫する手を下に下にと下げていく。
そこにはすでに張りつめて窮屈そうにズボンを押し上げる樹のペニスがあって、これは苦しいだろうと慌ててベルトとチャックを外した。
ぼろんと飛び出したペニスは色が薄いものの標準サイズですでに完全に立ち上がり、先走りがあふれている。
興奮しすぎて頭がガンガンする。
先端部分をぐりぐりとなでてやると樹に触れている手首をギュッと握られた。
「どうした?」
「お、俺もやります。ミヤさんにも気持ちよくなってほしい。」
今日、慣らしもせず最後までできるなんて幻想はさすがに抱いていない。
樹からの申し出にベルトを緩め、ジーンズとパンツを一緒に降ろす。
樹のゴクリと唾を飲み込む音がやけに大きく響いた。
「じゃあ、お願いできるか?」
お互いに向き合って、座る形になって俺が言うと、おずおずと樹が俺に触ってくる。
その慣れていないことが分かるしぐさにひどく欲情する。
抱きしめるようにしながら、手は樹自身を扱く。
「樹、すげえ気持ちいいよ。」
意識して言った訳では無かったが、俺の声はひどくかすれていた。
耳元で言ってしまった所為か、樹がフリーズする。
正に体中真っ赤にして樹は
「み、ゃさん、それ反則です。」
と言った。
その反応の方が反則だろう。
返事の変わりに少し強めにこすりあげる。
恥ずかしながら、樹のかわいい反応と直に触られているという事実にそんなに持ちそうにない。
まるで童貞に戻ったような自分自身に内心苦笑いする。
お互いに一心不乱にお互いの性器を触りあう。
室内にはお互いのハアハアという荒い息使いだけが聞こえる。
俺が強めに尿道口をグリグリと指でえぐった瞬間、樹はブルリと震えて達した。
達したその瞬間、強く俺自身のペニスを握られあっけなく俺も吐精した。
ベッドサイドに置いてあったティッシュを取っていると聞きとれるか取れないかという音量で
「最後までしないんですか?」
と言われた。
「今日はしないよ。少しずつステップ踏んでいけば大丈夫だから。恋人同士になった訳だし時間はたっぷりあるよ。」
今日したいかどうかと聞かれればもちろんしたいわけだけれど、多分樹にはキャパオーバーになってしまうだろう。
「もちろん、樹は魅力的だから、いつかは最後までしたいけどね。」
俺が付け加えると樹は真っ赤になりながら
「……分かりました。俺の初めてちゃんと貰ってくださいね。」
と爆弾を落とした。
いや、もちろんいただくつもりなんだが、ああ、くそっ。
これは正に生殺し状態というやつではないか。
とりあえず、このかわいくてかわいくて仕方がない恋人を今はとりあえず抱きしめることでこの幸せな悩みを吹き飛ばすことにした。