鳥の詩

小鳥は時々歌を歌う。

恥ずかしがりやなのか、私に気が付かれない様、夜中に歌っている。
暗闇に溶け込みそうな鳴き声は、甘やかで空気が大きく揺れているようだ。

床についてから、しばらくすると小鳥が私の顔を覗き込みに来た。
寝たふりをすると、一歩二歩窓辺へと近づいて、それから小さな声で鳴いた。
最初の曲は良く知らない曲だった。
一体どこで覚えたのだろう。

知人に聞いたところ、テレビや、飼い主の外出中の外から入る音、そういったものから言葉や音楽を覚えるのだそうだ。
消防車の真似をするインコを知ってますよと朗らかに言った知人の顔を思い出し納得する。

その曲が終わると次に歌いだしたのは童謡だった。
子供の頃に聞いたことのあるメロディーだった。

もっとも私の母は私に歌を聞かせるような人では無かったから聞いたのは学校に上がってからの事だっただろう。

子供の頃も、大人になっても、年を取っても歌に心惹かれたことは無かった。
そもそも職業柄、存在しない心というものに否定的だったのかもしれない。

けれど、今、小鳥の歌を聞いて、癒されて、なんて愛らしい声で歌うのだろうと思う。

どうすれば、起きている私の前で歌ってくれるのだろうと思うが、声をかければきっと歌うのをやめてしまうだろう。

目を閉じたまま、ただ小鳥の声に耳をすませた。