下肢が熱い。
それだけじゃなくて理一の全身が熱を持っている様に感じた。
丁寧に舐めとると一総の言った通り彼の手のひらにあったはずの傷はもうふさがっている。
「俺と一緒ですかね?」
理一が尋ねると、一総が笑顔を浮かべた。
「だから、同じ化け物同士だって言っただろう。」
理一は思わず声を立てて笑った。可笑しかった訳ではないし、一総の言っていることが面白かった訳でもない。
ただ、同じだということが嬉しかったのだ。
体は相変わらずおぼつかないが、それでも恐らく一総の血のおかげだろう、感覚が大分戻ってきていた。
けれど、むしろ敏感になりすぎている様で理一は自分の吐き出す吐息の音すら反響している気がする。
気を紛らわそうとベッドの上をさまよった手に触れる布の感触すら、ゾクゾクとする感触を理一にもたらしてしまい思わず震える。
「ああ、さすがにこれはそれなりに効いてるな。」
そう言うと一総は、理一をベッドに押し倒した。
これから何をするかは分かっているし、滅茶苦茶に体が期待してしまっていることも理一は知っていた。
多分、理一に対する怒りが消えてないことも分かっている。
だけどきっと……。
「俺の馬鹿な行動を許してくれてありがとうございます。」
するりと出た言葉はこんな状況で言うものでは無かったのかもしれない。
けれど、理一には一総がきっと許してくれるだろうということだけは分かっていた。
甘えかもしれない。そんなことはちゃんと分かっていた。
「木戸は、木戸自身が幸せになれる方法を考えてくれればそれでいい。」
「じゃあ、今から幸せにしてください。」
ゴクリと一総が息を飲むのが分かった。
「あー、もう、クソ。」
普段使わないような乱暴な言葉遣いをした後一総は理一の唇をそっと舐めた。
それだけで思わずもっととねだるように口元を緩めてしまう。
体は刺激を求めてどうにかなりそうで、理一は思わず一総に手を伸ばした。
おぼつかない指先で一総の制服のボタンをはずそうとするが上手くいかない。
いつも一総のはどうやって自分の服を器用に脱がしていたのだろうか、うまく思い出せない。
早く、早くと急かす声が脳内で聞こえる気がした。