45

だから木戸理一という男が自分から一総の手の中に落ちてきたときは、僥倖に恵まれたことに感謝してしまった位だった。
と同時に得体の知れない夜伽の一族の力を借りなくてはいけない程ボロボロになった理一をみて一総は柄にもなく思い悩んでいた。

理一をここまで追い詰めた一色純に感謝をする気持ちとお門違いににも恨む気持ちとが一緒に湧き上がってきてどうしようも無かった。

せめて表面だけでもと一般的な花島の域を超えたこともした。それが焼石に水であるという事は一総自身よく分かっていたがそれでもやめることができなかった。

それなのに、それだからこそなのだろうか、理一が自分自身の能力を使ってきたとき嬉しかったのだ。
あの時してしまった愛の告白に嘘偽りはない。

ただ、あの美しい生き物が心穏やかに暮らしていられれば一総はそれで良かった。
だから、花島を掌握すべきだと思ったし、学園のかなりの部分を自分の術中にも入れた。

恋人として、ただひたすら甘やかしてぬるま湯の中の様な世界で幸せになって欲しかった。

それなのに、術がかかりにくい所為なのだろうか、それとも別の要因なのだろうか理一は彼の為に作った世界に居続けてくれそうに無かった。

「やぁっ、……あぅっ、あっ、あっ。」

一総に中を穿たれた理一が悲鳴の様な声を上げる。
好きだとうわ言の様に言われる。

「アンタしか、っあ、ぅあっ。」

縋りつく様に手を背中に回される。

まるでそれは本当の恋人同士の様で思わず自嘲気味の笑みが漏れる。
その顔を見たせいだろうか組み敷かれた理一が一総の唇を奪う。
どちらからともなく舌を絡ませる。

理一の舌の側面を舐めてやるとビクリと体が震える。
そのまま歯列に沿って舐めあげてやると背中に回した手に力がこもるのが分かった。
口を離すときに唾液が銀糸になって二人の間を伝ってそれからプツリと切れた。

ぼんやりと快楽に浮かされた理一を見て今のままでいいじゃないかと自分に言い聞かせた。

«   »