君へと繋がる2

そうこうしている間にすぐに夏休みになった。
メッセージアプリで数回言葉は交わしている。

だけど、上手く自分の気持ちを伝えるなんて不可能だ。
そもそも、四六時中一緒にいられたらというのは単なる理想であって、実際はあの人がただ幸せであればそれでよかった。
あの人がという事に興味はあっても、俺とあの人二人がというのは未だに上手く想像できない。

前から決めていたことだったし、あの人から夏休み期間中誘われた日があった訳でもない。
それに家の関係なため、今更やっぱりやめますという訳にはいかない。

だから仕方が無い。あと、そのお金で欲しい物もある。
だから、今日からバイトですとだけあの人に伝えてはあるもののそれだけだ。

あの人も、相変わらずそっけないままだ。
謝りたいし、実際に電話もしたのだ。けれど繋がらなかった。
たまたま用事があった時だったのかもしれない。
けれど折り返し電話がかかってくることも無かったし、そこで自分の勇気みたいなものが枯渇してしまった。

だからそのままだ。
それでも真剣にアルバイトをして、お金をもらった。
神職関係だからだろうか。アルバイト代は現金でもらった。

バイト先の近くにあるアクセサリーショップを見る。
もう不要かもしれないなと思いながら、それでもどうしてもあの人になんて馬鹿みたいだ。

店頭で見つけたのは一枚のチラシだった。

「あの――。」

バレンタインのあの雑な作りのクッキーを喜んでくれた人だという気持ちと、もう気持ちが離れているんじゃないかという気持ちが頭の中でないまぜになる。

それでも、あの時は勿論と言ってくれたのだ。
だから、あの言葉にすがってみようと思った。