灼熱に貫かれ、理一はあられもない声を上げた。
ふっと息を吐く音が聞こえる。
それで、ああ、一総がこんなに近くにいるという事実を改めて感じる。
何度もセックスをしているのに近いとか遠いとか、今日はしている行為と違うことばかり考えてしまう。
ぐっぐっと腰を振られると腸壁が引きずり出されるように錯覚する。
「あっ、あっ。」
動かされるたびに切羽詰った声が止まらない。
覆いかぶさる一総から汗が伝って、理一のうなじに落ちた。
生ぬるいその感触が嫌いじゃないなと理一は思う。
一総はそのまま首元に頭を埋めて、後ろから抱きかかえるように覆いかぶさって腰だけを器用に動かす。
セックスに慣れてきた体はそれだけで全身に快感が広がる。
がむしゃらにシーツを掴んで、足の指をきゅっと丸めて快感をやり過ごす。
ハアハアとお互いの荒い息だけが部屋に響いていて卑猥だった。
「なあ、気持ちいいか?」
一総に聞かれ理一は後ろを振り返った。
そこにあったのは妖艶な笑みでは無く、切迫した一人の男の顔だった。
「なあ、アンタは気持ちいいか?」
理一が聞き返す。
こんなに中でデカく膨らませた人間に聞くセリフじゃないなとも思う。
けれど、この人はきっと一寸も快感を拾っていなくても勃たせることがきっとできる。
「気持ちいいよ。」
耳元で囁かれた言葉はまるで麻薬だ。
能力は使わないって言ったじゃないか、そう言いたくなるような言葉だった。
「木戸の体は気持ちがいいよ。」
もう一度、一総は繰り返した。
その言葉をまるで喜んでるかのように、理一の中がうねる。
ごくんと唾を飲みこむ音が聞こえた。
「俺も、気持ちいいですよっ……あぁっ。」
消え入りそうな声で言った言葉は最後まで何とか言えたが、言い終えるや否や一総ががむしゃらに腰を打ち付け始めた。
あ、とかいや、とかもはや言葉にならない言葉しか理一の口からは出ない。
パンパンと尻に肉が当たる音が響く。
前立腺もその奥も、入り口もこすられている部分全部が快感を訴えている。
いつもよりも違和感もあれば微かな痛みもある。
けれども、快感も鋭くなっている気がした。
気持ちが良くて、熱くて、中も外も一総が触れている部分すべてが熱くて堪らなかった。
快感で理一のすべての思考が塗りつぶされて真っ白になった頃、中で一総が果てたのが分かった。
その間、何度いったか分からない自分の下肢はだらりとうなだれて、もう色の無くなった精液をぼたぼたと垂れ流していた。