「脱がしてやろうか?」と聞く一総の申し出を丁重に断って脱衣所で理一は服を脱ぐ。
「別に傷がある訳じゃないんだな。」
一総が言う。
「木戸の血じゃないなら良いんだ。別に深入りするつもりもないしな。」
理一が返事をする前に一総は続けた。
「そんなに匂いするっすか?」
自分の手の匂いを嗅いでみるが鉄臭いような匂いは一切しない。
恐らく石を作る時に流した血の残り香だろうが、学園に戻ってくる前にシャワーは実家で浴びてきた。
一総の鼻が恐ろしく良いのか、もしくは花島の能力にそのような物があるのかのどちらかであろう。
お互いに詮索し合う様な関係では無いので、考えそうになる頭を理一は切り替えた。
「風呂はいりましょうか?」
全裸になった状態で恥らい等何も無く理一は言った。
二人で浴室内に入るとかけ湯をして湯船につかる。
一般的な家庭用浴槽より若干広めのそれに二人で入るが二人とも180cmを超えているため非常に窮屈だ。
「こっちに来いよ。」
そう言うと一総は理一を自分が座っている上に乗せた。
同じ方向を向いた状態で一総の太ももの上に尻が乗っている。
まあ、顔を合わせるより気恥ずかしく無くていいのかも知れないと理一は思った。
一総は後から理一の首元にそっと唇を落とす。
それから、べろりと首筋を舐めた。
その場所から、ジワリと快感が広がる。
手は理一の腹の腹筋の窪みを丁寧に撫でていた。
そこは実家で日本刀を突き立てた場所だ。
傷は完全にふさがって痕も残っていないが何か気が付いているのかも知れない。
だが、それを一々聞いてこない一総との関係が、酷く弱っている理一には心地良かった。
どちらかというと性感を高めるというより、いたわる様な手つきで撫であげる一総の手つきが嬉しい様なもどかしい様な不思議な気分になる。
先ほど舐められた首元からジワジワと快感を求める感情が広がっていた理一は一総の胸板に自分自身の背中をこすりつけた。
すると、一つの事実に気が付いた。
「先輩、勃ってるっすね。」
「まあ、興奮してるからな。嫌なら萎えさせるが?」
「は?そんな事までできるんすか?便利ですね。」
普通、一度、勃ってしまった物を萎えさせるのは面倒臭い。気持ち悪い物等、全然別の物を思い浮かべるというのが一般的だが、これからセックスをしようという時に別の事を考える事自体難しい。
「別にいらないっすよ、そんな特技披露」理一がそう言うと、一総はフッと笑ってから手を理一の乳首へと持っていった。
それは明らかに性的な物を含んだ手つきで軽くつままれただけで理一の体はピクリと反応した。
そのまま、コロコロと潰したりこすったりして一総は感触を楽しんだ。
ふうふうとくぐもった理一の息遣いが浴室内に響いた。
一総は溜息をつくと、乳首をいじっていた内の片方、左手を理一の口元へと持って行った。
唇ごと噛みしめているところに無理矢理気味に指をさしこんでいく。
反対の右手は相変わらず乳首を嬲ったままだ。
一総の指を噛んではいけないという気持ちもあって比較的直ぐに噛みしめた口を理一は緩く開いた。
そのまま、舌や上あご等を指でくすぐる一総に理一は控えめにあえぎ声を上げた。
「んっ、ふぅっっ、んんっ。」
徐々に理一の中心が熱を持っていき、直接の刺激が欲しいのか浅く腰をくねらせた。
一総は口に入れていた左手を引き抜くと口を開いた。
「なあ、触ってってお願いして?」
かわいらしく言っているが、実際のところ卑猥な事をしてくださいとお願いしろと強要している訳で、理一は「は?」という間抜けな声を上げた。
「触って欲しくないなら良いけど。」
一総はそう言うと両手で乳首を嬲るのを再開した。
爪を立てたり、摘んで引っ張ったり、丁寧だけれど少しだけ荒っぽい手つきで理一を追い詰めていく。
そこへの刺激は確かに気持ちいい、男でも感じると知識では知っていたがまさか本当にこんなに感じるとは思っていなかった。
だけど、だけれども決定的な刺激が足りなくてもっとめちゃめちゃにして欲しいという衝動にも似た感情がせり上がってきて、理一は唇を戦慄かせた後、口を開いた。
「さわって……。」
その声はかすれて酷く色気に満ちていた。
「うーん、本当はどこをって聞いてガンガンに調教したいところだけど、まあ良い。」
一総はそう言うとダイレクトに理一の望む場所をこすりあげた。
突然の強い快感に、理一はあられも無く喘ぐしか無かった。