圭吾さんはソファーで上に俺を乗せてくつろぐのが好きなようだ。
今日も夕食を二人で食べた後、片付けもそこそこにリビングのソファーに腰掛けると太ももを数度軽く叩いて俺もそこに来るように促された。
これがはっきり言ってとても恥ずかしい。
俺も圭吾さんもゲイなので女扱いされているって感じる事はあまり無い。
だけど、こうやって甘やかそうとする時は目尻が少しだけ下がった目もともそこからの視線も、とても甘ったるく、俺の髪の毛を梳くても優しい。
特に男で、且つゲイである自分を自覚していたため過度のスキンシップも避けてきた俺にこの甘ったるい時間は居たたまれない様なそれでいて温かな気持ちになるような、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
圭吾さんの視線から逃れる様に俯くと、そのまま前髪に唇を落とされる。
実際髪の毛なのでそんなはず無いのだけど、くすぐったい様な気持になってそっと身をよじる。
圭吾さんを見つめる、彼の唇が自分のそれに重なる。
何時も思うけど圭吾さんはとても馴れている。
嫉妬は勿論してしまうけど、そういう事を責めるのはルール違反な気がして何も言わない。
でも、きっと圭吾さんは俺の嫉妬心に気がついているのかも知れない。
悔しいので離れ際に、圭吾さんの唇をそっと舐めた。
驚いたようで、固まる圭吾さんに少しだけ優越感の様なものを感じ笑うと、次の瞬間圭吾さんの表情は肉食獣の様になった。
ヤバい、と感じた時にはもう遅くそのまま噛みつかれる様にキスをされる。
先ほどまでは比較的口の先で舐めまわしていた舌が、俺の舌の付け根まで舐め取る様に絡まる。
息が詰まった様になる。
舌を強めに吸われて、歯の裏を舐めまわされて、上あごもくまなく圭吾さんの舌が触れる。
たまらなかった。
口元から落ちる唾液もあまり気にならなかった。
ただ、気持ち良くてこの人に全てさらけ出してしまいたいそんな倒錯的な気持ちだった。
圭吾さんが、口を離すと、足りなかった酸素を一気に吸い込んでしまいゴフゴフとむせた。
そっと背中をさする圭吾さんの手も、今は先ほどのキスで敏感になってしまった皮膚を撫であげられている様でその都度ビクビクと反応してしまう。
涙目になりながら再度圭吾さんを見ると面白い物を見つけた様に笑っていた。
「なあ、口ん中気持ち良かった?」
圭吾さんにそう聞かれ、酸欠で働かない頭でコクリと頷く。
撫でるというより舐めるという表現の方が近い触り方で圭吾さんが俺の頬を指で撫でた。
ゾクリとする。嫌悪でも、勿論寒さゆえのそれでも無い震えを覚えた。
そんな俺の様子に笑みを深める圭吾さんは
「俺の舐めてもらっていいか?」
と俺の口にその長い指を入れながら言った。
そのまま、くるりと指を俺の口内で撫でる様にまわした。
こんな時の圭吾さんの表情は、官能的で逆らえない。
「俺のって……。」
「んー、俺の圭吾君の事?」
言っている事はふざけた調子の下ネタなのに、声がこういう時にしか聞けない様な正にエロボイスで、その声を聞いただけでヤバい、というかマズイ。
のろのろとソファーから降りると、圭吾さんの前にしゃがみこむ。
そっとベルトに触れてから、ベルトとボタン、それからジッパーを下ろす。
ボクサータイプの下着をずらすと、既にそれなりに固く勃ち上がったそれを取り出す。
さっきのキスで圭吾さんも興奮していてくれた事が嬉しかった。
そっと先端部分にキスをしてそのまま、ぺろりと舐めた。
圭吾さんが息を詰めたのが分かり、それが嬉しくて先端部分を入念に舐め上げる。
それから、覚悟を決めて口を開けると圭吾さんのそれを咥えた。
同じ男なので何となくここが感じるんじゃないかって部分は分かるから、そこに舌を押しつけるように頭を前後する。
気持ちいい部分って個人差もあるので大丈夫かな?と思い圭吾さんの顔を確認した。
すると、俺の事を見下ろす圭吾さんと目があった。
ゴクリ、圭吾さんが唾を飲み込んだのが、俺にも聞こえる。
そのまま、軽く俺の頭を掴むとぐぐっと奥まで咥えこますようにされた。
ただ、それも無理矢理って感じではなくごくごく弱い力で、圭吾さんが俺の事を考えてくれてるっていうのが分かる。
喉の奥の方まで圭吾さんで一杯にされて、ほんの少しだけ嘔吐感はあるけど、それより何より口の中に圭吾さんのそれがこすりつけられているという事実に酷く興奮した。
俺の上顎が感じる事なんかお見通しの様で、緩やかに腰を打ちつけてそこをこすられる。
これじゃあ、俺が圭吾さんに奉仕しているのか、圭吾さんが俺を気持ち良くさせているのか分からない。
それでも必死で口の中いっぱいに含んだ圭吾さんの分身に舌を絡める。
初めてした訳だし、きっと拙かっただろう。
だけど圭吾さんが眉根を寄せて快感に耐えている様な表情をしていたので救われた。
「もう出るから。」
そう言いながら圭吾さんは分身を引き抜こうとする。
「やらぁー。」
ヤダと言いたかったのに、口内をこすられ過ぎた上に、まだ咥えている所為で滑舌が恐ろしく悪くなってしまった。
でも、もっと気持ち良くなって欲しくてそのまま圭吾を深く咥え少しだけ吸い上げる様にした。
ドクリと痙攣するように震え、圭吾さんが達した。
全部飲みたいと思ったけど、思いの外量が多いのと勢いが想像以上で嚥下出来たのはごくわずかだった。
慌てた様に圭吾さんが引き抜くと、ケフケフと軽い咳こみが出た。
口元に当てた手に精液がこぼれる。
もう一度舐め取ってしまおうかと思っていると、焦った様な圭吾さんがティッシュを差し出した。
「無理して飲む事無いから。」
俺の手を拭きながら圭吾さんは言った。
「無理して無いですよ?圭吾さんの飲んでみたかったので。」
俺がそう言うと圭吾さんは顔を真っ赤にした。
「……寝室行こうか。」
絞りだす様に言ったその声がかすれていて、下半身が疼くとでも言うのだろうかその声を聞いて俺も堪らなくなり、そっと差し出された手に自分の震える手を乗せた。
了