結果から言うと、拍子抜けするくらい俺と小鳥遊については周りは何も言われなかった。
むしろ歓迎ムードでこっちが驚いたくらいだ。
三井君はたまに食堂等ではち合うとこっちが申し訳なくなるくらい怯えて逃げていく。マジで小鳥遊と弟は何をしたんだろうと思うが、知ってはいけないと本能が言っているので見なかった事にしている。
まあ、俺が駄目なら間違いなく次はツバサちゃんが狙われていたと思うから、同情はしてやらない。
俺は相変わらず放課後は空き教室から小鳥遊を眺めているんだけど、ツバサちゃんがそこに来てくれて本当に良かったと言ってくれた。
涙まで流して喜んでくれたので、びっくりしたけど俺はいい友達を持ったのかも知れない。
小鳥遊とは相変わらず、たまに一緒に食事をしたり、夜共有スペースでダラダラしたりとするくらい。
だけれど、そこに確かに愛情のようなものがあるのも分かるし、欲を孕んだ目で見られていることも分かっている。
そこまで鈍感なつもりはないけれど、今はまだ気付いていないふりをさせてください。
といってもたぶん小鳥遊は俺が気付かないふりをしていると知っていると思うけど…。
だって、仕方がないじゃん。まだ、先に進む覚悟ができないんだから。
今まで、それこそ男も女も何人も組み敷いてきた訳だけど、自分がそうされる側に回るなんて思っていなかった。
小鳥遊を組み敷くという選択肢が全く俺の頭にない時点でもう答えは決まっているようなものなんだけど、もう少しだけ現実逃避をさせて欲しい。
「俺の我慢にも限度ってものがあるからな。」
部屋でダラダラしていると不意に小鳥遊に言われる。
頭を撫でながら、キスをされる。
「え~っと、もうちょっと待って欲しいかなーなんて…、思ったりなんかしている訳ですが…。」
てへーって笑うと、「そのチャラ男キャラ何とかなんないのか?」と聞かれ文字通りきょとんとしてしまう。
「その貼り付けてるキャラクター全部剥ぎ取って、ぐちゃぐちゃにしてやりたくなる。」
そう欲に濡れた目で言われてしまい、もう、俺は陥落寸前。
でも、剥ぎ取りたいって事は、人好きされる態度も何もかんも取り払った俺の根っこの部分を好きって言ってくれているのと同義で…。
このチャラ男キャラじゃなければ正直誰も見向きもしないんだろうななんて思っていたけど、小鳥遊が俺の事見てくれるならもう何でもいいやってちょっとだけ思った。
だから、俺から最後の一歩を踏み出せるまでもう少し待ってねダーリン。
第二章完