「頼みますから少し扉のまえで待っていてください。」
懇願する俺に、柊様はきょとりと俺の肩から俺を見上げる。
ちょっと、なんか色々限界が近い。
というのも、この柊様本当にどこにでもついてくるし俺から離れようとしないのだ。
で、困ったのがトイレだった。
普通に小のとき、誰かと一緒でもそこまで気にならないが、それはある程度距離があるからだ。
こんなに近くにいられたらさすがに色々無理だ。
風呂はまあ、猫と一緒に入っている気持ちで諦めるとしてもさすがにここだけは無理だ。
「すぐ済みますから。」
我慢の限界が来て、廊下に柊様を下ろすと。あわててトイレに入った。
出てきたときの柊様はまん丸に丸まっていて、そのまま絡みつくように俺の腕に登ってきて罪悪感がなかったといえば嘘になるがさすがに無理なものは無理なのだ。
「現代の日本では夫婦は一緒に便所には入らないものですよ。」
なんて説明すればいいかわからず、思わず変なことを口走ってしまった。
柊様の動きが一度止まってそれからそれからぴょんぴょんと飛び跳ねるようにして俺の肩の上で落ち着いた。
大丈夫だった様だ。
一番の懸案事項が何とかなりそうで安心した。
「柊様、後で一緒にお風呂入りましょうね。背中流します。」
ほっとしてそう伝えると、柊様は顔をおれの首元に擦り付けた。