優斗視点:
俺はイライラしながら双子の弟である拓斗の部屋に向かっていた。
ツバサちゃんは拓斗に振られたといっていたが、あの二人は両思いだと思っていた。
何でツバサちゃんのことを振ったのかは知らないが、二人を見ているとまるで恋人同士のようだった。
長い間一緒に居る所為か、双子だからか、俺は何となく拓斗の感情というものが分かるが、こればっかりは意味が分からない。
何で、自分のことを好きだといってくれている人間を俺のフリをして襲う?
昔は良く入れ替わりゴッコをしていたがこの学園にきてそんなことをしたことは皆無だった。
なんでだ?
俺の信用を落としたい?
それはないか、アレだけ沢山セフレが居たんだ。ツバサちゃん一人とそういう噂が立っても周りの評価は変わるわけが無い。
拓斗の部屋の前に着きチャイムを連打する。
居なかったら、食堂か?
「うるさいなあ。」
といいながら人がでてきた。
確かこいつ剣道部のやつだった気がする。
って、今はそれどころではない。
「拓斗いる?」
「ああ、呼んでくる?」
「頼む。」
程なくして拓斗が出てきた。
「お前、どういうつもりだ。」
怒りに任せて怒鳴る。
さも、いつもどおりですよって顔をした拓斗が俺のことをウザそうにしながら答える。
「はあ?何のことだよ。」
「何のことって、ツバサちゃんのことに決まっているだろ!!おまえ俺のフリして何やらかしてるんだ。」
「そんなに大事な恋人なら手え出されないようにしまっておけばいいだろう。」
ニヤっと皮肉るような笑みを拓斗が浮かべた。
恋人?
こいつ何言っているんだ。
俺とツバサちゃんが恋人だと思っている?
普通、人の恋人って手を出さないものじゃないのか?
あまりにも意味不明なことを言っているので少し混乱してきた。
「お前、ツバサちゃんのことが好きなんじゃないのか?」
それとも、それとも……。
「俺に対するあてつけだけでツバサちゃんのこと襲ったのか?」
「だったら、何だって言うんだよ。どうせいつものセフレだろ?一人位味見させてもらっても別に良いだろう。」
「ふざけるな!!」
気がついたら拓斗の顔を思いっきりぶん殴っていた。