「ちょっ、え…!?まって、まってよ、少し頭の中を整理するから。」
楓が目を白黒させながら僕と優斗先輩とを交互に見る。
「えっと、つまりさっきツバサを襲っていたのは目の前に居る島田 優斗さんではなく弟の島田 拓斗ということ?」
僕はコクリとうなずく。
「でも、たしか、島田 拓斗ってツバサと同じ委員会で、かなり優等生系の格好をしてなかったっけ?」
うん、その通り。
「さっきの野郎は制服気崩して、髪の毛ピンで留めてただろ?」
「はあ?!拓斗、俺みたいな格好していたってことか?」
見る見るうちに優斗先輩の顔が鬼のような形相になっていく。
「服装とかは優斗先輩っぽかったけど、アレは島田・・・た、くと先輩だったと思う。」
「なんで、委員会の先輩が兄貴の振りして襲うんだ??」
「わからない。」
分かるわけ無いよ。僕が聞きたいくらいだ。
「・・・…優斗さんだっけ?悪い。人違いだった。」
「いいよ。それどころじゃない事情みたいだし。ツバサちゃん顔色悪いね。少し休んだほうが良いよ。僕の用もたいしたことじゃないし。」
「あ、あの・・・、・・・やっぱりいいです。」
優斗先輩に島田先輩がなんであんなことをしたのかあんなにつらそうだったのか聞こうと思ったけどやめた。
優斗先輩と島田先輩は兄弟とはいえ違う人だし、今はとてもじゃないけどさっきあったことを人に説明する元気がない。
「とにかく、ツバサちゃんは少しゆっくりしたほうがいい。」
それじゃあまたね。といって優斗先輩は帰っていった。