夕飯の支度をしていると玄関のチャイムが鳴った。
楓の友達かな?
「はーい。」
今日楓はBLアニメの鑑賞会をするので遅くなるといっていたので居ない。
鑑賞会って事は2人以上はいるってことだよね。そんなに腐男子って居るものなんだろうか。
「あの、楓なら…」
「ツバサちゃん今晩は。ちょっといいかな?」
てっきり楓の友達だと思ったら優斗先輩だった。
「ごめん。ツバサちゃんの部屋で話してもいいかな?」
「……はい。」
何か優斗先輩の様子がおかしい。
「今、紅茶でも持ってきますので、少し待っててください。」
僕の寝室でそういったところで優斗先輩に手をぐいっと引かれる。
バランスを崩して床に座り込んでしまった。
「優斗…、先輩?」
優斗先輩は無言で顔を近づけてきた。
何が起きているんだ?あれ?あれ?
僕がパニックを起こしている間にどんどん近づいてきて、唇と唇が重なった。
キスをされた。
その事実が脳に到達するのにも時間がかかった。
何でこんなことをするんだろう?
優斗先輩は小鳥遊先輩が好きなのに。
あんなに幸せそうにそれでいて辛そうに小鳥遊先輩の話をしていたのに。
そうだ、優斗先輩がこんなことをするはずが無い。
じゃあ、この状態は何なんだろう。
考えるのを邪魔するように、何度もキスをされる。
しかも、どんどん長くなっている気がする。
「ん…んふっ…。」
舌が入ってきて、何か変な声を出してしまった。
恥ずかしい。よくわかんないけど恥ずかしい。
恥ずかしさから思考を違うところへというのもあって必死で今の状況を分析する。
優斗先輩はこんなことをしない。そう確かな信念というものが僕の中にあるのに僕の目の前には優斗先輩の顔をした人が僕を襲っている?
優斗先輩の顔?
まさか?まさか?
「島田先輩…」
目の前の人の瞳が一瞬揺れた。
気のせいではない。
この人は島田先輩?
じゃあ、なんで髪の毛をピンで留めているの?
制服も着崩しているし。
そもそもなんで僕にキスなんかしているの?
「あ、あの…んんーっ。」
僕が何かを言おうとするたびに口がふさがれる。
もちろん、キスなんてしたことが無いのでまともに息継ぎなんて出来ない。
息がすえなくて頭がくらくらする。
涎も口の端からたれていてすごく恥ずかしい。
僕の頭がクラクラになるまで島田先輩は何度もキスをしてようやく唇を離してくれた。
僕のこと「ありえない」って言ったのになんでこんなことをするんだろう。
「ひあっ…。」
島田先輩がいきなり僕の首に吸い付いてきた。
キスの余韻で僕が気がついてなかっただけかも知れないけど。
首をなめたり、吸ったりしながら部屋着にしているTシャツをまくり上げてくる。
「し…まだ先輩やめっ…。」
この状況を何とかしたくて抗議の声を出すが、手や口が止まることは無い。
島田先輩は僕の事をからかいたいのかな?
でも、こんな状況でも好きな人にキスをされて触れられれば体は熱くなってしまう。
首にちくっとした痛みが走って「いっ」と声を出してしまった。
そうすると島田先輩はそこを舌でべろっとなめる。
顔がめちゃめちゃエロい。
その間も手は僕の胸の辺りをなでている。
「何で…。」
僕が話そうとすると胸の突起をいきなりカリってつめで引っかいた。
何これ?
男でも感じるらしいということは楓のBL本の知識であったけど。
そのまま指で押しつぶしたり引っ張ったりされる。
「んっ。…ん。やだぁ。」
頭の中がキャパオーバーになって何も考えられない。
でも、こんなのヤダ。やめて欲しい。
そう言いたいのにのに変な声が出て上手く喋れていない。
涙があふれて次から次にこぼれていく。
「駄目。やめ…て。くぅん。」
島田先輩の息が荒い。
怖い。怖いよ。