それでも一緒にいたい6

今日の昼休みは図書委員の当番がある。
島田先輩と一緒にやるので出来ればサボってしまいたかった。

けれども、そういうわけにもいかないので、仕方がなく図書館に向かう。
うちの学校は図書室ではなく、専用の建物が建っている。
かなりマニアックな本もそろっていてとても気に入っている。
本が好きだった僕は図書委員になっていつもという訳でもないが、かなりの時間を図書館で過ごしていた。

そこで、図書委員長を務めていたのが島田先輩だ。
好きな本の話をお互いにしたりしていたが、口下手な僕の話もよく聞いてくれた。
島田先輩を好きになるのに時間はかからなかった。

図書館に着くと島田先輩はもう来ていた。
ちらり、とこちらをみて少し目を見開いたがすぐに手元にある本に目線を戻した。

気まずい。
もの凄く気まずい。

普段だったら心地よいはずの沈黙に耐えられなくなって声をかける。

「……あ、あの。」

島田先輩がこちらを見る。
何を話せばいいんだろう。

「きょ、今日はあまり人が来ませんね。」
「そうだな。」

会話が続かない。
僕も本読んでようかな。
適当に近くにあった本を読み始める。

「拓斗ー!!」

入り口のドアを開け、島田先輩の名前を呼びながら入ってくる人がいる。
そちらに顔を向けると島田先輩と同じ顔の人がひらひらと手を振っていた。
島田先輩の双子のお兄さん、島田 優斗(しまだ ゆうと)先輩だ。

「優斗先輩こんにちは」

僕がそう声をかけると

「こんにちは?……あー、ツバサちゃんか髪型かえたんだあ。
かわいー。」

と返事をしてくれた。
優斗先輩は、島田先輩に会うため時々図書館に来る。
最初は優斗先輩のことも島田先輩と呼んでいたんだけど、わかりにくいから名前で呼んでと言われてから優斗先輩と呼んでいる。

島田先輩と優斗先輩は一卵性の双子だ。
なので目鼻立ちはとてもよく似ている。
だけど、雰囲気はかなり違う。
島田先輩はまじめで几帳面だけど少しとっつきにくい感じだ。(でも、本当はすごくすごく優しい。)
見た目も、優斗先輩より少し短めに切った髪の毛ときちんと着た制服。もともと色素が薄いのか髪の毛は2人とも少し茶色い。
対する優斗先輩は所謂モテる感じだ。
髪の毛をピン止めであげて制服も第二ボタンまで開けたりベルトも派手なのをつけている。
(ピン止めなんて女装みたいで変かもしれないけど、それがとてもかっこよく決まっている。)
いつも周りには友達やファンの人たちがいるけど図書館に来るときだけは島田先輩に怒られた所為か一人で来る。

なにか、実家の話をしている2人をじーと見ながら思いをめぐらせてしまった。

「ツバサちゃん。そんなにみ・つ・め・な・い・で。
照れるじゃん。」
「すみません。
そんなつもりじゃ。」

真っ赤になって否定する。
島田先輩気持ち悪いとかって思わなかったかなあ。
わたわたしていると、優斗先輩は

「じゃあ、伝えたからな。」

といって図書館から帰っていった。

その後は、ちらほら本を借りに人も来て、忙しく働いている間に昼休みも終わった。