5-4(本編エンド)

隣の身じろぎで目が覚めた。
目は泣きすぎた所為か腫れぼったくなっている。

こんなにすぐに体を繋げて、存外自分も即物的だななんて考える。
そもそも初めての自分で、小西先輩は楽しめたのだろうかと視線を彼に移す。

そして、驚愕する。

糸が、彼のタオルケットから出た指から伸びる糸があったのだ。
慌てて自分の指を確認するとそこからも糸が垂れ下がっていた。

その糸は、昨日までと同じように、俺と小西先輩を繋いでいた。

ただひとつ違うことは途中で、まるで不器用な人間が無理矢理補修したかの様に、こぶ状に少し膨らんでいる部分があることだった。

その膨らみに触れようと動いたところで、隣の小西先輩が身じろぎをして、目を開けた。

「んー、どうした?」

けだるそうに聞く小西先輩に視線をこぶへと移し「糸が。」とだけ声を出した。
小西先輩が息を詰める音を聞いた。

「一度切った糸は、こうやってまた繋がるものなの?」
「俺も、こういったものを見るのは初めてです。」
「そう。」

小西先輩は自分の手を掲げて糸を揺らす。
それから満足気に

「まるで、本当の運命みたいだね。」

と言った。

「何の意味もない糸ですよ。」

俺が返すと「そうかもね。」と言って、また笑みを深めた。

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