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隣の身じろぎで目が覚めた。
目は泣きすぎた所為か腫れぼったくなっている。
こんなにすぐに体を繋げて、存外自分も即物的だななんて考える。
そもそも初めての自分で、小西先輩は楽しめたのだろうかと視線を彼に移す。
そして、驚愕する。
糸が、彼のタオルケットから出た指から伸びる糸があったのだ。
慌てて自分の指を確認するとそこからも糸が垂れ下がっていた。
その糸は、昨日までと同じように、俺と小西先輩を繋いでいた。
ただひとつ違うことは途中で、まるで不器用な人間が無理矢理補修したかの様に、こぶ状に少し膨らんでいる部分があることだった。
その膨らみに触れようと動いたところで、隣の小西先輩が身じろぎをして、目を開けた。
「んー、どうした?」
けだるそうに聞く小西先輩に視線をこぶへと移し「糸が。」とだけ声を出した。
小西先輩が息を詰める音を聞いた。
「一度切った糸は、こうやってまた繋がるものなの?」
「俺も、こういったものを見るのは初めてです。」
「そう。」
小西先輩は自分の手を掲げて糸を揺らす。
それから満足気に
「まるで、本当の運命みたいだね。」
と言った。
「何の意味もない糸ですよ。」
俺が返すと「そうかもね。」と言って、また笑みを深めた。
了