最初の時も色気のない性行為だなと思った。
その筈だった。
だけど、あの色気もへったくれも無かった行為が一総の能力とやさしさの上に成り立っていたことに、理一はようやく気が付いた。
違うと、理一は思いなおした。
今も多分、一総は優しいのだろう。
何故、一総が今セックスをしようと言ったのか、理一には少しだけ分かった気がした。
中を広げる指の感触は違和感が大きい。
けれどもそれが逆に、中にある一総の指を強く意識させてしまう。
理一は、一総にしがみつきたいと思ったが、思いとどまる。
自分が自分以外のものに変わっているかもしれないことは不安しかなかった。何かにすがって、すべてを忘れてしまいたかった。
グリ、恐らく理一がそう思ったのとほぼ同時だったであろう。
一総の指は理一の中の一番弱い部分を押した。
か細い嬌声が理一の喉から聞こえた。
一総は理一をうつ伏せにすると、指を増やす。
ただひたすらシーツを握りしめて、下肢からジワジワを広がる快感の波に理一は耐えていた。
「声、もっと出せばいいだろ?」
背後から、つまらなさそうな声がした。
「なら、もっと可愛気のあるやつ抱けばいいだろう。」
息を短く吐きながら理一が返すと、笑い声が聞こえた。
「お前が喘ぐからいいんだろ。」
一総は二本の指で前立腺をはさむ様にこねる。
あっ、という甲高い声が漏れた。
「あんた、結構悪趣味だな。」
ふうふうと息をしながら理一は言った。
「俺の趣味はいい方だろ。お前は充分美しい生き物だよ。」
そう言うと、一総は指をすべて引き抜いた。
それから、すでに膨らみ切った一総の起立を理一の後孔に押し当てる。
避妊具越しだという事は今までの経験で分かっていたのに、いつも以上に一総の中心が熱い気がした。