小さな友達

私にはお父様が二人います。

普通はお父様とお母様で家族ということを知らない訳ではありません。
けれど、私のうちはお父様が二人いるので仕方がありません。

一度、たとえ男同士の夫婦であっても生んだ方が母親だろうと言われたことがありました。
けれど、私にはそれがぴんときませんでした。

だって、お父様はやっぱりお父様だから。
私のお父様は二人とも強くてかっこよくてやさしくて、それに私のことを想っていてくださるのが分かるのです。

「ああ、シャーリーこんなところにいたのか。」

息を切らしてグレン父様が言う。
私のことをずいぶんと探したようだった。何せ、ここは庭の一番はじだったから。
足元で、私のおちびちゃんがニャーと鳴いた。

慌てて隠すと、ふはっと声を立ててお父様が笑った。

「ねこ見つけたのか。」

お父様はしゃがむと、手を伸ばして舌を鳴らした。

「あ、あのね、お父様。」

今日はもう一人のお父様、アルフ父様が久しぶりに帰ってくる日なのだ。
だから、我侭を言って困らせてはいけない。

分かっているのに、上手くは出来ませんでした。

「大丈夫だよ。」

お父様はネコを撫でるように、ぽんぽんと私の頭を撫でた。
それは、いつものそっと撫でる手つきと少しだけ違っていて、少しだけ力強くて、それでも優しさがつたわってくるものでした。

「アルフレートが帰ってきたら一緒に頼んでみような。」
「はいっ!」

私はおちびちゃんをそっと抱えてお父様に見せた。
お父様は目じりを下げて笑顔を浮かべた。

「屋敷に戻ろうか。」

二人で並んでゆっくりと歩いた。