子守唄を歌おう

※twitterで公開していたもの

圭吾さんが俺の家に来てくれた。

いつもはほとんど俺が圭吾さんのうちに行くのに、圭吾さんがこの狭いワンルームにいるのは、なんだか不思議な気分だった。

「…ご、ごめんなさい。」

出た声はかすれていてごめんなさいというより、ごべんなさびに近い発音になってしまった。

喋っただけで、喉がチクチクとした。

「ゴメンナサイもいらないし、無理して喋ることないから。」

圭吾さんが俺の頭をひとなでした。

おでこに貼ってある冷却シートが冷たくて、頭がぼーっとして、段々意識が朦朧としてくる。

圭吾さんの歌が聞こえた気がした。
それは普段聞くことの無い子供向けの童謡で、なんだか酷く安心した。

そのまま、深い深い眠りに落ちた。

起きた後、圭吾さんに寝る前の歌のことを聞いたけれど、はぐらかされてしまった。

もう一度、あの歌を聞いてみたい気がした。