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昨日は泣き疲れて寝てしまった。
泣きすぎの脱水症状だろうか、ずきずきと痛む頭をさする。
時計を見るとまだ6時前だった。
ドア越しの共有スペースから物音がする。
たぶん、小鳥遊が登校する支度をしているのだろう。
一夜経ったが、やはり顔を合わせて今以上に嫌われた事を再確認する気にはなれず、そのまま自室で聞き耳を立てる。
コトリとドアに何かが当たる音がする。
小鳥遊が向こう側にいるのが気配で分かる。
ドアの向こうで何かを言っているそれは分かるのだが、何を言っているのかまでは聞き取れなかった。
そうして、暫くしていると向こう側の気配が遠ざかり、最後にバタンと玄関のドアがしまる音がした。
とりあえず、何かを飲んでシャワーを浴びよう。
そう思って自室のドアを開けるとそこには、スポーツ飲料のペットボトルが置いてあった。
こんな状況でも俺に優しくできる小鳥遊に少しびっくりしながらも、それの蓋をあけて一気に飲む。
また、一筋涙がこぼれた。
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シャワーを浴びて脱衣所兼洗面スペースで自分の顔を確認する。
まえ、小鳥遊の前で泣いた後も思ったが、俺は泣いてもあまりむくんだり、目が腫れたりしない体質のようだ。(さすがに目は充血していてひどい事になっているが…。)
脱衣所に持ち込んでおいた制服に腕を通す。
いつもであればだらしなく見えない程度、それでいてオシャレに感じさせるように制服を着崩すのだが、それも面倒くさくて普通に着る。
髪の毛も一応ドライヤーで乾かしたが、どうしても弄る気になれず、乾かしたままの髪型で登校することにした。