走って、がむしゃらに走って寮まで帰って自室に閉じこもる。
ボロボロと涙があふれて、声も無く泣き続ける。
この前泣いた時は小鳥遊が隣に居てくれて頭を撫でてくれた事を思い出すと、もっと涙が止まらなくなった。
逃げ出して来てしまった。問題の先送りにしかならないと分かっていたけれど、怖かった。
小鳥遊と付き合えるそんな希望的観測、これっぽっちも持ち合わせてはいないがだからと言ってごみくずを見るように自分を見られたらと思うと今も震えが止まらない。
ああ、これは完全に嫌われてしまった。
たぶん、もう何を言っても信じてもらえない。
自分の都合を優先して軽い付き合いばかりしてきたツケが回ってきただけで自業自得だろうと言い聞かせようとするが、涙は後から後からあふれてくる。
涙って枯れないんだなあと目をこすりながら思った。
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どのくらい時間がたっただろう。
窓の方を見るともう真っ暗だから6時は過ぎているのではないだろうか。
コンコンと控えめに自室のドアをノックする音が聞こえる。
たぶん、小鳥遊だろうというのは分かるけれどドアを開けて死刑宣告を受ける気にはどうしてもなれない。
ドアを挟んだ反対側に小鳥遊が居る。
ドアに向かって進んで、そっとドアに手を触れ「ゴメン」とつぶやいた。
その後も、1時間おき位にドアをノックされたけど、どうしても小鳥遊と顔を合わせる事が出来なかった。