真っ直ぐに見つめる7

SIDE:優斗

朝起きるとすでに、小鳥遊は先に出たようだ。
良く考えたら、部活の朝練があるはずだ。はち合わせた時どんな顔をしたらいいのかと悶えなくても別に良かったのか。
朝からがっくり疲れてしまった。

昨日はあの後、疲れてしまったのかそのまま寝てしまったので、シャワーを浴びる。
鏡でみた自分の顔は別に泣きすぎて腫れているということも無くいつものままだ。

それにしても俺、昨日みっともなく小鳥遊にすがって泣いて、何やってんだよ。
ただでさえ、煙たがられているのはわかりきっているのに、これ以上うざがられてどうするんだろう……。

考えても、仕方がないので、出しっぱなしで体に掛かり続けていたシャワーを止めて浴室から出る。

**********************

朝の登校途中、弟とツバサちゃんを発見する。
ああ、やっぱり上手く行ったみたいだ。自然と笑みが漏れる。

だけど、周りは口さがなく弟とツバサちゃんの事を話している。
まずいな。そう思って駆け寄る。

「おはよーん。ツバサちゃん」

昨日はもうできないかなと思っていたユルいしゃべり方で話しかける。
うん、大丈夫。俺はまだ笑える。
ちらりと、弟の顔をみる。昨日殴った跡は残っていないようだ。良かった。

周りに対して、弟とツバサちゃんが恋人同士で、俺が兄として祝福しているということをアピールする。
その俺の行動の意図に、弟もすぐ気がついたようで周りにアピールするようにツバサちゃんを構っていた。

これでたぶん、俺とツバサちゃんの事実無根の噂の件は何とかなったと思う。
自分自身の下半身の緩さからくる印象によって出てしまった噂だけに何としても、これ以上ツバサちゃん達に迷惑をかける事が無いようにしたい、そう初々しいカップルをみて思った。