真っ直ぐに見つめる8

正直そこまでやるかと思った。

何の話かと言うとここの処の、弟の話だ。
害虫駆除とでも言わんばかりに、恋人の周りにいる有象無象を排除し始めたのだ。それも、周りにはそうと気付かれないように狡猾に。

邪な気持ちを持っていないツバサちゃんの友人たちは排除対象にならなかったようでツバサちゃん本人も、気が付いていない。
というか、気が付いているのは俺も含めてごく少数だろう。
真面目な図書委員長として、周りから認識されている拓斗がまさか、そんなことをする訳ないという先入観も手伝って弟は今日もツバサちゃんの囲い込みに余念がない。
弟は俺と違い人望も厚く、周りに対して一歩引いているようなところがあった。それが一人の人間のためにそんなことをするなんて、あり得ないそう思うのが普通だ。
まあ、ツバサちゃんかわいくなったもんなあ、仕方がないかと生温かい視線を弟に送る日々だ。

(俺も排除対象にならなくて本当に良かった。)