真っ直ぐに見つめる5

「…小鳥遊も知ってると思うけど、俺、付き合ってもいない子とSEXしてて。
基本、向こうから言ってきたのだけ、相手していたんだけど…。
合意の上で、誰にも迷惑かけてないと思ってたけど、結局、弟とかに迷惑かかってたみたいで…。弟と友達の恋、邪魔しちゃう所だった。」

好きな人の前で自分の恥部をさらすって、何これ、めっちゃ恥ずかしいというかいたたまれない。
そう思いながらも小鳥遊に話す。

「それでも、最近はそういうのもうやめようと思って、全然してなくて。
…でも、そうだよな、周りの印象なんてそうそう変わらないんだよね。
今も、発情犬だってさ。
それに、小鳥遊にも同室って事でいっぱい迷惑かけちゃったね。ごめん。」

何か、話しているうちに一杯一杯になっちゃって、いつもの緩い話し方ができていないのはわかっているけど、どうにもならない。

目に涙がたまって、ボロリとこぼれる。

何やってんだ俺、これ、どん引きされるだろう。
ぐしぐしと服の袖で涙をふく。

やっぱ、話すんじゃ無かった。
うつむいて小鳥遊から視線を逸らす。

嫌悪感を抱いている同室者の送迎をさせられて、変な話し聞かされた挙句泣かれて。
小鳥遊からしたら災難以外の何物でもないよな。

俺が色々考えて、やっぱ自室に引きこもろう、そう思った時、不意に小鳥遊が動くのを感じた。

ポンポンと頭を撫でられたかと思うと、犬にやるみたいにぐしゃぐしゃと髪をを撫でるというかかきまぜられた。
いきなりの事に、ぽかーんとしてしまう俺。

「俺は、お前が何を思ってセフレを作っていたかは知らないし、お前のセフレが何を考えていたのか何ぞ、もっと知らないが、少なくともこの部屋ではち合わせたやつらは全部合意の上のように見えた。
そうであるなら、お前が周りに申し訳なく思うことは一切無いはずだろう。
弟の件も、上手くいきそうなんだろう?
なら、お前は、いつも通り弟とあの一年に接していけばいいんじゃないのか?」

そう、小鳥遊に言われて、ぼろぼろと涙が止まらず、しまいにはわーわー泣いてしまった。
その間も、何故か小鳥遊は俺の事を撫でてくれて、しまいには、小鳥遊の胸にすがりつくように泣いてしまった。

ようやく、俺が落ち着いて、気恥ずかしいながらもお礼を言って、自室に入った。
だめだ、俺、もっと小鳥遊の事好きになってしまう。小鳥遊が撫でた頭を自分で触って、その感触を思い出して、カッと顔に熱が集まる。

小鳥遊のおかげで、泣くだけ泣いたらすっきりした。
明日、拓斗とツバサちゃんに会ってもいつもの自分で居られる気がした。