真っ直ぐに見つめる1

別に付き合っている人が居る訳でなし、別に誰とSEXしようが別に関係ないし、そもそも付き合う前に誰と寝たかなんていちいち気にするなんて処女厨でもあるまいし、あり得ない、結構本気でそう思っていた。

その日も、適当に見つくろった子と部屋で致そうとしているところだった。(全寮制男子校なので、相手ももちろん男。)
なんとなく、二人部屋だというのに共有スペースであるリビングで、事を始めてしまった。
正直いって、その時、誰を抱こうとしていたかなんて全く覚えていない。
その程度の関係の相手だった。

相手の体を弄っていると、運悪く同室者が帰ってきてしまった。
小鳥遊(たかなし)といったか、堅物そうな男だったというくらいしか印象のない同室者だ。

あー、めんどくさいなあ、無視して自室へ行ってくれないか、そう思っていたが、世の中上手くいかない。
リビングスペースに入ってきた小鳥遊と目が合う。

「ごめーん。ちょーっとうるさいかもだけど、気にしないでー。」

といつも通りの緩い話し方で、同室者に話しかける。
すると、あいつは、いかにも嫌悪感丸出しです、という顔になり

「気持ち悪い。せめて共有スペース以外でやってくれ。」

といい、自室に引っ込んでしまった。
その時の、嫌悪感をあらわに寄せた眉、何より、その冷めた目を見た瞬間俺の心はあいつ、小鳥遊にとらわれてしまったんだと思う。
嫌悪の顔に惚れるなんて、ドMかよと思ったけど、諦めるしかなかった。

とりあえず、その日のお相手は、白けちゃったねー等適当な事を言って、丁重に帰っていただいた。

それから、ただ、小鳥遊の事を見つめ続ける生活が続いている。