事後の余韻は今までとは全く違って二人の吐息しか聞こえない距離で二人で吐息だけで笑いあった。
暴力的な感情も、不安も何も無く、ただただ幸せだった。
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「と言いつつも、遠回りしてるだけで現状何にも変わってないですよね。」
「まあ、お互いに化け物だって事には変わりないからなあ。」
一総は笑いながらいう。
朝には昨日の情事の名残は何もなくなっていた。けれど、穏やかな朝だった。
「そういえば花島の本当の能力ってなんなんですか?」
理一が聞くと「普通に身体能力強化と体液の成分変化それから少しだけ幻覚を見せられるそれだけだな。花島って意味だと。」と答えた。
「先祖がえりの能力と、それ以外の一族の能力が全く違うんだよ。」
多分お前のところもそうだろ。
一総に言われ理一は頷く。
「木戸の一族に洗脳能力あるなんて聞いたことなかったから、多分それはお前固有のものだろう。」
「まあ、おまけみたいなものですけどね。多分俺の役に立つ能力なんて一つしかない。」
理一が強い口調でいうと、「まあ、能力っていうのは使い方だから。それに……。」一総は最後は言葉にはしなかった。
けれど、それが理一が一総に頼んだ事であることはすぐに分かった。