「どうした?」
慈しみに満ちた目で髪の毛を撫でられる。
くすぐったい様な気分になって思わず体を離してしまう。
「だって、俺みたいなのが頭撫でられてても変だろ。」
理一はそう言って距離を取る。
可愛がられる様なキャラじゃない。頼られることはあっても誰かに頼るなんて上手くできないのだ。
理一はそう思ったところで違和感に気が付く。
だって、皆頼らせてくれてる筈なのだ。
一総はニコリと口角を上げて「理一は可愛いよ。」と言った。
「男に可愛いっておかしいだろ。」
それに……。それに、なんだっただろうか。
今頭に浮かんだはずの事が思い出せない。
「そうかなあ、俺にとっては理一が一番可愛いよ。」
疑問を持っていた頭が一総の言葉でそちらに注意が行く。
ついばむ様なキスをされて、思わず理一は一総の服を掴んだ。
「ほら、可愛い。」
一総は理一の手を撫でながらもう一度可愛いと言った。
理一に触れられたところからゾクリとした感覚が背中に向かって走る。
「あっ……。」
声に艶めいたものが混じってしまったのは仕方が無いと理一は思う。
「寝室へ行こうか。」
合図の様に一総に言われ理一は静かに頷いた。