コンビニの話

※王ヴァイ ワンライツ企画提出 CPでは無いつもり

ヘッジホッグにおいて、買い出し当番は大体決まっている。

今日は唐沢と南雲は留守番で残りの2名が買い出しになった。
コンビニに向かう二人の足取りは軽い。

「256連れてくれば良かったやん」
「買い物中どうするんだよ」
「でもさあ」

二人で話していると、コンビニエンスストアの灯りが見える。
こういう時何故かほっとするのはなんでだろう。

暗闇に光るPCのディスプレイを見て安心するのと同じだろうか。

頼まれた、弁当をかごに放り込む。
二人でカップラーメンのコーナーへ向かい、食べてもいないのに新商品をああだこうだと品評しあう。
結局、いくつか夜食用に購入することにして、それからレジに向かった。

コンビニの店員が一つ一つ商品をスキャンする間二人でぼおっとそれを待つ。
ミノルがちらりと裕助を見ると、レジ横にある肉まんの保温器をじいっと見ていた。

「何か、買ってくか?」

ミノルが聞くと、裕助はうーんと少しだけ逡巡した後、じゃあと頼んだのは、チョコまんと書かれたものだった。

「よくそんなもん選ぶよな」

別に他意はなかった。ミノルは口が悪い自覚はあるがそんなことは裕助も知っていたし、裕助も別に気にしてはいない。
コンビニから出て、裕助はおもむろにチョコまんを袋から取り出す。

「えー、うまそうやん」

裕助は比較的新商品を好んで買っていたし、そういうものが好きだった。
対してミノルはゲームとコラボした肉まん等は購入することがあっても新しいものをあれこれ選んで食べたりはしない。

坂井ビルに持ち帰ると冷えてしまうし、きっと食事前にと怒られると道中で食べてしまうのはいつものことだ。
夏はアイスを食べながら帰ったこともある。
ほかほかと湯気を立てる、チョコまんを一口食べると、裕助の目尻が下がる。茶色い見た目に反して、存外それは美味い。

「俺も買うべきだったか」

ミノルがぼそりと言う。

街灯に照らされた道を二人で歩く。
白線がぼんやりと光っていて、息も白い。

「じゃあ、次来る時一緒に買おうな」

裕助が笑顔を浮かべる。

「糖分は脳の栄養だしな」

ミノルが返すと、裕助は声を立てて笑った。