KV軍パロ 256

ここは、駐屯地として軍に提供されているとある高校の跡地の一室。
この場所で坂井は自分の部下である第512部隊ヘッジホッグを飼っている。

* * *

坂井大輔のモットーは『働かざる者食うべからず』だ。

「という訳でそこのただ飯食らいを訓練施設に入れる事にした。」
「ただ飯食らいじゃないです。名前は256、9歳のバーニーズマウンテンドッグです。」

是枝一希が答える。

「坂井さん、突然何言ってるんですか…。」
「256は充分俺達を癒すっていう仕事をしてくれてるじゃないですか!!」
「坂井さん冗談きついわー。」
「256、9歳って言えば結構な年齢ですよ?」

ヘッジホッグの面々もそれぞれに庇うために口を開いた。

「この犬、この前も『共和国』のスパイに餌付けされてたぞ。そろそろ何とかすべきだろう。」

以前侵入を許してしまった愉快犯の顔を思い出し苦々しげに吐き捨てる。

「だからって256に訓練って飛躍しすぎでしょう。」

南雲が大輔を諌めようとする。

「あれ?君達の上官って誰だっけ?ああ!!俺か!!という訳で、これは決定事項だから。」

ニコニコと笑いながら大輔は言った。

「横暴だ……。」
「…あれだよ256が坂井さんにだけ懐かないから。」

ひそひそと言い合うヘッジホッグに大輔は「聞こえてるぞ。」と青筋を立てながら言った。

大輔は256を抱きしめる一希のそばにしゃがみこんで言った。

「お前にも256にも期待してるぞ。」

睨みつけるように大輔を見ていた一希の表情がその一言で崩れた。

かくして、256は軍用犬としての訓練を受ける事となったのだ。