IF4

◆ ◇ ◆

つれてこられたのは諏訪野の部屋だった。

諏訪野の目の前で醜態はさらしたくなかった。
しかし、福島の体はもう自分ではどうしようもない位昂っていた。

はあはあと吐く息が熱い。

目の前で福島を見下ろす諏訪野の視線を感じるだけでどうにかなってしまいそうだった。
「駄目だな……。」

そう言われ、福島はビクリと体を震わせた。
呆れられたと思った。

当たり前だ。
華奢でもない、ましてや女に見られることがまず無い人間が媚薬の影響とはいえ、息を荒くしているのだ。
気持ち悪い以外の気持ちになりようが無い。

「済みません……。すぐにでてきま――」

言葉は最後まで紡げなかった。
福島の口は、諏訪野のそれにふさがれていたからだ。

「んっ、んぁッ……。」

媚びるような声がでてしまい、福島は羞恥心に襲われる。
そのまま、頬に諏訪野の手がふれ、そこから熱が広がるように錯覚する。

限界だった。何もかもが限界だった。

口を離した諏訪野と目が合う。

「好きだ……。」

聞こえたのが自分の声でなかったことに福島は驚く。
その声は、目の前の男、諏訪野のもので本当に彼が言っているのか幻聴でも聞いているのではないか福島には分からなかった。

「さすがに驚いた顔はわかるな。」

髪の毛をすきながら諏訪野に言われる。
やめて欲しい。また、期待をしてしまう。

「唇半開きでエロいな。」

無表情の男の口が半開きになった程度でだらしなくはあってもエロい筈がない。
なのに、諏訪野は唇を輪郭をなぞるように撫でる。

そんなところが気持ち良いなんて知らなかった。

「さっきから、何を……。」

福島の回らない頭では何が起きているのか理解できなかった。
せめて媚薬の効果がもう少し収まってから話をして欲しかった。

「だから、お前のことが好きだから、抱きたいなあと。」

諏訪野はそう言うと、福島を軽々と抱き上げて寝室へと運んだ。

福島は、どさりとベッドの上に降ろされた。
乗り上げる様にして諏訪野が福島に覆いかぶさる。

「本当は、素面のときにしたかったんだが。」

辛いだろう、と股間を撫でられ始めてそこが馬鹿みたいに硬くなっていることに福島は気が付いた。

触れられたところからしびれるようだった。

「ンぁ、やッ、あっ…ふぁッ…。」

福島は声が止められず手で口をふさごうとするが、諏訪野に阻まれる。

「めいっぱい喘げばいいだろう。」

諏訪野に言われるが、男が喘いでなんになるんだ。
福島は涙をにじませて目で諏訪野を睨み付けた。

「それ、煽ってるだけだからな。」

諏訪野はそう言うと、ズボンも下着もすべて剥ぎ取った。

「べとべとだな。」

わざわざ言わなくてもいいはずなのに見せるように言う諏訪野は意地悪だと福島は思う。
しかし、そんなことを考えている思考はすぐに霧散してしまう。
諏訪野が、福島の下肢に手を伸ばししごく。
反対の手が、福島が自分でもこんなときに触ったことの無い場所を撫でる。

「ひぁっ!?」

思わず出た甲高い声は女のようで、自分の声ではない様だと福島は思った。
ベッドサイドから諏訪野がチューブを取り出して手に出した。

そのときに視線が合う。

「俺が、気持ちよくなるようにしてるんだから、気持ちよくなって当たり前なんだよ。
だから、お前はただ、気持ちよくなって喘いでいればいいんだよ。」
「何、を……。」
「んー、目は口ほどに物を言うっていうか、今かなり表情に出ているぞ。」

お話はおしまいとばかりに、諏訪野は福島の足を持ち上げて際奥に指を入れた。

「ッ、ふぁっ、あぅっ……。」

違和感も勿論ある。けれど福島は確かに快楽と呼ばれる部類のものを感じていた。
声はひっきりなしに出てしまいとめられそうにないし、もはや福島にそこまで考えるだけの余裕は無かった。

指は2本、3本と増え、じゅぶじゅぶといういやらしい音が響いていた。

「顔、蕩けているな……。」

そう言った、諏訪野の顔もいつもより、ずっと、雄としての本能が見えるものだった。
諏訪野は笑みを深めると、指を抜いた。

それから、諏訪野自身のズボンの前をくつろげると、完全に勃ちあがったものを福島に押し付けた。

「あっ、あーあ゛ッふぁ――」

生まれて初めて経験する衝撃に福島は目を見開いて半ば叫びの様な嬌声を上げた。
中に入り込んだ諏訪野が熱くて熱くて、それが体中に広がって、熱くてたまらなかった。
「動くぞ。」
「やぁっ、やらッ、まっ…あああッ。」

パンパンと音がするくらい滅茶苦茶にかき混ぜられて、目の前がチカチカするくらいの快感が体を駆け抜ける。
足の指先からじわじわと駆け上がってくるような射精感に福島は思わず手をのばした諏訪野の肩に爪を立てた。

体全部が喜んでいるのが分かる。もう諏訪野のことしか考えられなかった。

「すき、しゅ…んッ、アッ、んんあぁっ――」

必死で気持ちを伝えた瞬間、中の怒張がさらに体積を増して、思わず締め付けると先ほどよりさらに奥の奥まで入り込んだそれがはじけた感触がした。

最奥にたたきつけられた飛沫の感覚に、福島も吐精する。

はあ、はあという二人のあらい息遣いだけが室内に響いた。

◆ ◇ ◆

幸い、といっていいのだろうか。媚薬自体の効能はすぐに切れた。
そのため、福島は今、いたたまれない気持ちでいっぱいだった。

体液でどろどろになってしまった、諏訪野は服を脱いで上機嫌で福島を抱き込んでいた。
「俺、男ですよ。」
「知ってる。」
「可愛げのかけらも無いんですよ。」
「知ってる、といいたいところだが、さっきはものすごく可愛かったぞ。」

あまりのいたたまれなさに話しかけたものの、ますますいたたまれなくなる。
そんな福島を見て、ああ、こいつは昔から目だけは素直だったと、ようやく思い出した。
諏訪野がそっと福島の髪を撫でると、福島の瞳が揺れる。
それは、諏訪野を愛おしいと伝えているようにしか見えず、諏訪野は笑みを深めた。

リクお題:(R18)
攻め嫉妬、受け嫉妬で自覚、攻めから告白、横槍、アンチ王道登場

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