「熱いから気をつけて飲めな。」
そういって楓はマグカップを僕に渡してきた。
一口飲むじんわりとお茶の温かさが体に広がった。
「言えるようなら、何があったかはなしてみ?」
楓がやさしく問いかける。
「……。」
やっぱりどうしても話せそうにないけど、楓の優しさに涙が止まらない。
30分位だろうか僕が泣いている間、楓ずっと隣にいて背中をさすっていてくれた。
その間も島田先輩のいっていた「ありえない」の一言が頭の中をぐるぐる回っていた。
「……ぼく、変わりたい。」
「へ!?
変わりたいってどういうこと?」
楓は素っ頓狂な声を出して聞きなおしてきた。
「全然違う自分になりた…ぃ。」
手をぎゅっと握り締めながら答える。
楓、変に思ったかなあ。
「う~ん。
人って一朝一夕に変わるのって中々難しいと思うよ。
いや、でもツバサにしてはいい傾向なんじゃないの?
何でそう思ったかはわからないけど。」
といいながら楓はうんうん唸って何かを考えている。
いい傾向なのかな?
原因は失恋だけど。
「そうだ!
とりあえず、見た目の印象だけでも変えてみたら?
見た目が変わると気分も変わるって言うし。」
「で、でも、見た目って言ってもどういう風に変えたら良いかもわからないし。」
僕が困っていると
「そこは腐男子である俺におまかせあれ!
完璧な総受け主人公に仕立ててやるぜ。」
ウィンク付で言われたが、腐男子って関係あるの??
総受け主人公って何!?
「まあ、任せなさいって!!」
不安な気持ちでいっぱいになる僕はおかしいのだろうか……。