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グレンさんの子供は冬の星の綺麗な日に生まれたらしい。
らしいと言うのは俺がそれを知ったのは生まれてから二週間以上経ってからの事だった為だ。

副長は手伝いに行ったそうだ。
産婆と副長それからグレンさん3人での出産だった。

俺が会いに行きたいと言うのを何故か副長が酷く渋った。
親子どちらかの具合が悪いのかと詰め寄ったがどうやらそういう事では無いらしい。

頼みこんで副長と二人、グレンさんの家に向かった。

ベビーベッドに赤子を寝かしつけているところだった。

「良く寝るいい子だよ。でも、俺に似てくれればよかったんだけどな。」

グレンさんは言った。
寝かされた赤子を見て、何故副長が俺との面会を渋ったのかが分かった。
その子供は黄金の様な金色の髪の毛と瞳をしていた。
将来美人に育つなという事が分かるかわいらしい女の子だった。

この子と同じ色を持つ男を知っていた。

何故、副長がここまで親身になって、あまつさえ出産にまで立ち会っていたのかにようやく合点がいった。
金色を持つ男、騎士団長と副長は幼馴染みだったはずだ。

歴代最年少で騎士団長まで登りつめた団長は貴族出身で確か男爵の位を持つ家系だったはずだ。
通常であれば伯位以上でしかなる事の出来ない騎士団長に王の勅命で就任した。
グレンさんより2歳ほど年下の甘いマスクとそれに反する強さを持った男だ。

グレンさんは赤子の父親はこの事実を知らないと言っていた。
戦いの神に愛されたあの人は、今は遠い国境付近で戦っているのだろう。

帝都の様子等きっとあの人は気にしない。
戦いの最中はそれ以外の事はまるで抜け落ちた様になってしまっていたのを俺も知っている。

だからって、これは無いだろう。

「団長が貴族だからですか?」

それを、グレンさんに言ったのか副長に言ったのかは自分自身でも分からなかった。

「この子は俺だけの子だよ。」

グレンさんは答えにならない答えを返した。

「言って無いって、何でだよ。
なんであの人に一緒に背負わせてやらないんだよ!?」

掴みかかる様に叫ぶと、副長に引きはがされた。

「ん?アレはもう恐ろしく色んなモンを背負ってるよ。」

そもそも、俺と寝た事自体覚えてるか怪しいもんだ。そう付け加えると力なく笑った。
その表情は一人で背負う覚悟なのか、それとも諦めなのかは俺には分からなかった。

帰り道、副長からもう少し見守ってあげてはくれませんかと言われた。
副長は定期的に団長に手紙を送っているらしい。
検閲が入る可能性もあるため具体的な事は書いてはいないが、それでも送り続けている。そう言った。

多分団長は手紙等見ていないのだろう。
勿論上官として尊敬はしているのだが、やりきれない気持ちで拳を握りしめた。

副長はとにかく今はグレン親子を帝都に留める事を最優先にしたいと説明した。
団長が遠征から帰ってきて、帝都に彼らが居ないのではもうどうしようもないだろうと言う事だった。

不承不承で頷く俺に、「彼を友として支えてあげてください。」と副長は言った。

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